社会実装としてのBIPVシステムの展望

摘要

2012年7月にスタートした再生可能エネルギーの全量買取制度以降，太陽光発電システムの設備認定の数は加速度的に増加したが，一方でメガソーラ等の設置に伴い，地域間送配電網増強や再生可能エネルギーの出力制御，発電所の稼働率低下，エネルギー貯蔵システムの導入の必要性等の課題が顕在化したCOP21における「パリ協定」の採択や，東日本大震災以降の電力需給の逼迫，エネルギー価格の不安定化等を受けて，·省エネルギーと自家消費を推進する観点から建築物のエネルギー自給の必要性が強く認識されている．また，国内エネルギー消費量の内訳は，産業部門に対し民生部門（業務部門，家庭部門）が大きく増加している傾向であり，エネルギー需給の安定を実現するには，この民生部門のエネルギー消費量低減が必要不可欠な状況である．2014年に閣議決定された「エネルギー基本計画」の中で，2020年までに新築住宅，建築物について段階的に省エネルギー基準の義務化が示されており，業務部門の大幅な省エネルギーを実現するZEB（Zero Energy Building）が注目されている．