信号保安と列車制御システムの現状と今後の展望

摘要

信号保安システムは安全輸送の要（かなめ）であり，列車のブレーキを自動的に動作させる列車制御システムと結び付いて，より安全で高密度な運行を可能としている。 三菱電機は信号保安システムにおいては主に車上側の保安装置を製作してきたが，近年では，地上側も含めた信号保安システムの製品化を行っている。 当社で製品化したデジタルATCシステムは，信号伝送にスペクトラム拡散方式を用いることで伝送部のノイズに強くまた伝送の多重化が容易になっており，従来のATC に比べて運転時隔の短縮化，軌道回路の設備費用の低減が可能等の特長を持っている。 一方，無線を応用した列車間隔制御システムは，閉そく区間を先行列車に合わせて移動させることにより高密度の運転を効率良く行うことができ，かつ軌道回路が不要となるため地上側設備が軽減できるものであり，当社においても次世代信号保安システムとして製品化を進めている。 電子連動装置は従来の継電連動装置に代わって，転てつ機（ポイント），信号機を制御し，安全に列車進路を構成するものであるので，安全性·信頼性を追求したデュアルCPU構成のフェールセーフプロセッサを開発し，電子連動論理の中枢に適用するとともに，デジタルATCにも適用している。