高知児南国市における水稲再生二期作栽培の事例

摘要

南国市は高知県の中央部に位置し，北部は急峻な四国山地，南部は太平洋に画した平坦部となっている．平坦部は沖積層の肥沃な耕地に恵まれており，年平均気温15.8度，年間降水量2200 mmといずれも全国平均を上回っている．南国市全体の水稲栽培面積（1998年度）は1480 ha，そのうちの約9割の1380 haがナツヒカリ，コシヒカリなどの早生品種を栽培する早期栽培水稲で，7月下旬から8月上旬にかけて収穫され，宮崎、鹿児島とともに日本で最初にとれる新米として全国に出荷されている．この早期栽培水稲（一期作水稲）の収穫直後に耕転、移植を行い，再び水稲（二期作水稲）を栽培する二期作栽培は，戦前には1932年の5892haをピークに盛hに行われ，その後戦時中にかけて主として労働力不足により減少したが，終戦直後から食糧難時代を反映して徐々に作付け面積が増加し，1961年には4304 haまで回復した．しかし，この二期作栽培は一期作水稲の収穫と二期作水稲の田植えをほぼ同時に行うため，一連の農作業を短期間に行わねばならず，農家に過重な労力がかかっていた．