多変量解析で魚の気分を探る：空間モデルと多変量解析を組み合わせた生態回廊機能の統合的評価法－農業水路における淡水魚を事例として－

摘要

私がこの研究論文に着手したのは，2000年の筑波大学院の社会工学研究科に在籍して，博士論文に取組みはじめたときでした。 共著者であり，指導教官であった池田三郎筑波大学名誉教授の当時のゼミでは，「リスク評価」と「閉鎖水系における生態系の数理モデリング」の研究が行われており，私の研究テーマも，「土地利用変化による生態系リスク評価」を研究テーマとしていました。 しかし，研究テーマが幅広く漠然としていたために，研究が進展せず博士号の取得をあきらめそうになっていました。 そうした折に，ゼミの先輩であった，静岡大学の前田恭信先生に相談に乗っていただき，研究をより具体的なテーマに絞る必要があるので，フィールド調査のような現場を体験したほうがよいとのアドバイスをいただきました。 アドバイスに基づき，フィールド調査手法を模索していたところ，大学周辺の地元地域で利用されている「投網」という道具に出会い，「魚」という研究の切り口を得て，魚がよく獲れる農業水路に目が行くようになりました。