「錘水量物」西天竜用水路 --長野県上伊那郡箕輪町：深沢川横断水路橋--

摘要

諏訪湖から流れ下る天竜川は県歌「信濃の国」に出てくる長野県の四大河川の一つで，国の固めなりと歌われています。 しかし，別名「暴れ天竜」と言われるほどの急流河川であり，多くの支流とあいまって伊那盆地を深く浸食し，何重にもなる河岸段丘を形成しています。 その最下段の天竜川両岸には水の恵みを直接受ける肥沃な水田地帯が広がっています。一方，ホタルで有名な辰野町から伊那市にかけての右岸側の河岸段丘上は古くは平地林をなし，中央アルプスから流れ出る川は山裾を出ると伏流水となって地下を流れるため地表を流れる常水は少なく，広い台地の耕地全体を潤すことは不可能で，長い間潅漑用水の不足に悩まされてきました。 このため，米を自給できる農家は少なく，養蚕を専業とし，桑園をはじめとする畑作が行われていました。