食料、農業に関する北東アジア連携の基盤とは何か

摘要

本稿の課題は，北東アジアにおける連携を支える 基盤の構造を明らかにすることにある. 近年，農業経済学関係の学会において北東アジア をひとつの括りとして捉えるシンポジウムが相次い で開催された.地域農林経済学会の2006年度シン ポジゥム「グロ 一バリゼーションと地域農業、農政 の展望」や日本農業柽済学会の2007年度の大会シ ンポジゥム「経済グロー バリゼーションと農業一東 アジア経済圏連携の可能性一」などがそれに当たる. いずれも本稿で検討する北東アジアの連携が主要な 課題のひとつとなっている.しかし，北東アジアの連携がどのような基盤に立 脚するのかについての分析は極めて限られている. むしろ，対外的な交渉の過程で日本が孤立した結果， 連携を求めるケースが多い.連携条件が整ってきた から，連携を進めるというより，その必要性，とり わけ日本からみた必要性，が高まっているから連携 を強化すベしという立場が支配的である.