都市農村交流における主体間関係の整理ツールの開発一福島県川俣町における地域づくりインターン事業からの検討一

摘要

昨今，都市農村交流は新たな展開を見せている。「田 舎で働き隊门や「地域おこし協力隊」など，都市の若 者に対して積極的に農村の地域づくり活動への参画を呼 ぴかける国の施策展開に代表されるように，今日の都市 農村交流では，都市住民と農村住民が直接的に関わりを深め，都市住民には「地域づくり活動への参画」という 踏み込hだ役割まで期待をされている。このような状況 を「協働の段階」の都市農村交流と位置づけ，その基礎 となる主体間関係の状況を明示的に表現するツールの開 発を，本研究は目的とする。そもそも都市農村交流は，いち早く人口減少局面に入つた農村における地域づくり活動の出発点として，1970年 代からその意義が見出されてきた〗)。1980年代後半以降 になると，ハード面の整備事業が中心的になされ，リゾ ート開発や農業公園などのレクリェーション施設や滞在 施設が各地に整備された。1990年代後半からは，リゾー ト開発の失敗ゃハ一ド面の整備に傾斜した交流政策への 反発もあり，ソフト面を重視した都市農村交流としてグ リーンツーリズムゃェコツーリズムなどが注目されてき た。その中で，棚田オーナー制度や里山保全活動，滞在 型市民農園などが各地で展開されるようになり，田畑や 水路，里山や森林など特定の地域資源の管理ぃ活用に都 市住民が関わる交流が関心を集めるようになった。