一般農場における生産データ活用の動物生産研究、教育のための基礎と応用：ミネソタ大学養豚生産プログラム（ビッグチャンプ）を参考にして

摘要

動物農業では生産農家が減少する中で，生産性を上げるために農場の大規模化と産業化が進hでいる。 それに伴い，よりよく生産をコントロールするためにコンピューターを利用した生産記録とその活用が，動物農業に必須となってきていろ。 科学的データと情報に基づいた意思決定が重要視されだしたのである。 生産データ記録が生産性向上のための農家指導そして教育と研究にも不可欠という展望のもと，米国ミネソタ大学は1985年に養豚用のコンピューター生産記録プログラム（PigCHAMP：ビッグチャンプ）を開発した。 ここでは，ビッグチャンプの繁殖群と肥育群の生産管理を例にとって生産データの基礎と応用について説明すろ。 ビッグチャンプから引き出せる生塵情報は（1）生産プロセスの管理，（2）モニタリング（3）問題発見と診断（4）生産予測である。 その情報から生産管理に役立つ知識を創っていくことができる。 生産データが一旦コンピューターに記録されると，たくさhの情報が無方向で得られ，せっかくの情報をどう活用すればいいのかわからなくなる場合がある。成績指標間の関係や要因を理解するために，指標問の関係図として生産性ツリーがある。 また個々の農場での生産管理の他の活用法としてベンチマーキングがある。 ベンチマーキングとは，あろ農場の生産性が業界でどの位置にあるのか，また優良農場と比較してどこが違うのか計数で知ることである。 生産者が成績を年々向上させるために不可欠の業務である。大学にとっても農業動物研究分野で一般農場が持つ生産データは研究．教育のために様々な発展性を持っている。 現在の野外動物農場は様々な生産データを持っているので，研究目的に応じたデータベースを作ることができる。 研究例として繁殖成績に負の影響を及ぼす要因である若い産歴，短い授乳期間，母豚の飼料摂取量少なさ，季節（夏）を上げた。 さらに生産量のバラツキも生産性に負の影響を及ぼすことを示した。 日本農業の生産性アップと国際競争力の増強へ寄与すること，学生と卒業生への教育効果のためにも，大学にとって農業生産に直接役立つ研究，生産研究は必要である。 そして生産研究にとって一般農場の生産データの収集と活用は有用な手段である。