高病原性鳥インフルエンザについて

摘要

アジアを中心に流行しているH5N1ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザは，日本の養鶏産業にとって最大の脅威となっている。 また，ヒトが本ウイルスに感染しても高率に死亡することから，公衆衛生の観点からも恐れられている。 ここでは，家畜衛生，公衆衛生の観点から，H5N1ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザついて解説したい。 家畜伝染病予防法で定義されている高病原性鳥インフルエンザ（以下本病と呼ぶ）は，強毒タイプまたは弱毒タイプのH5，H7ウイルスによる家禽（鶏，ウズラ，七面鳥，アヒル）の感染症である。 弱毒タイプのH5，H7ウイルスは，家禽での感染が継続すると強毒化する場合があるため，強毒株と同等に扱われる。 本病は強毒タイプへの変異によって気づかれることが多いが，気付いた時には既に弱毒タイプウイルスの感染が広がっていることが多く，合わせて殺処分されるために大きな被害となることがある。 ウイルスに感染した家禽は殺処分され，農場の消毒等の防疫措置が取られる。