内分泌撹乱化学物質（環境ホルモン）の三大検出法被験物質の細胞毒性と溶解度を考慮した濃度設定も欠かせない

摘要

環境ホルモンは，正しくは内分泌撹乱化学物質と呼ばれ，1997年2月に米国で開催された会議においては「生体の恒常性，生殖，発生あるいは行動に関与する種々の生体内のホルモンの合成，貯蔵，分泌，体内輸送，結合，そしてそのホルモン作用そのもの，あるいはクリアランスなどの諸過程を阻害する性質を持つ外来性の物質」と定義されている．このような物質の生体や環境に対する影響に関する研究はまだ歴史が浅く，科学的に解明されていない点も多いが，種々の報告から生物の存続に関わる生殖や発育への深刻な影響が危惧されている．現在，OECD（経済協力開発機構）などにおいて，ある化学物質が内分泌撹乱作用を有するか否かの判定は長期繁殖性試験の結果に基づくとの見解が示されており，短期試験法は正式にガイドラインとして定められてはいない．しかし，世の中に流通する化学物質は8万種以上あると言われており，これらすべてを長期動物試験に供することは事実上不可能である．現在，いぐつかの短期in vivo 試験法（子宮肥大試験やハッシュノヾーガー試験など）あるいはin vitro 試験法がほぼ確立されており，化学物質に優先順位をつけるための試験と位置づけられている．