農協の営農指導における農産物生産履歴管理の 役割に関する一考察:そらち南農協の生産履歴管理システムを事例として

摘要

農産物の安全性の確保と安全、安心に対する信 頼確保を目的として，農産物の生産履歴の記帳-管理が行われている（註1).こうした生産現場での生産履歴記帳の背景には，2000年6月に発生 した雪印乳業による集団食中毒事件やそれに引き 続く BSEの発生，食品関連の偽装事件，山形県無 登録農薬問題などの一連の食品関連の事故を背景 とした，消費者の食品の安全性や安心に対する関 心の高まりがある.こうしたなカゝ，政府は，2003 年「食品の安全.安心のための政策大綱」（註2)において，生産および加工，流通の各段階で移動 経路を明らかにし被害を最小限にするための食品トレーサビリティ（註3)'システム構築を食品の流通、力n工業者や農畜産物生産者に呼びかけた. これを受け，全国農業協同組合中央会（全中）は 農協における全ての農産物について生産方法を記 録する「生産履歴記帳運動」（註4)に取り組む ことを決定した.これにより農家が農協を通して 生産物を出荷する場合，全ての作物について圃場 や栽培条件を記録し，出荷時に農協に提出が求め られるようになった.