脂肪細胞におけるレチノール結合タンパク質4 (RBP4) 遺伝子発現調節機構の解析 -RBP4遺伝子プロモーター上に存在するGLUT4 ノックダウン依存的転写 活性化配列の同定と転写活性化に必要な転写因子のクローニング-

摘要

レチノール結合タンパク質（Retinol binding protein 4; RBP4)は血中レチノール輸送に関与するタンパク質であ る.それに加えてRBP4はレチノールを酸化から保護し， 循環系におけるレチノー ル濃度を一定に保つ役割もしている. RBP4は主に肝臓で合成され，1:1の割合でレ チノールと結合し血中へ分泌される.さらに血中では甲 状腺ホルモン結合タンパク質でもあるトランスサイレチ ンと複合体を形成する.標的組織へ達すると細胞表面の RBP4受容体を介してレチノ一ルが細胞内へ運ばれる2)3).2型糖尿病においては脂肪組織，骨格筋および肝臓に おけるインスリンの働きが悪くなる.糖尿病でなくても インスリン抵抗性は心臓疾患や老化の最大のリスクファ クタ一である4).インスリン抵抗性の初期に，脂肪組織 および骨格筋におけるインスリン依存的なグルコース取 り込みの抑制が起こる5). Glucose transporter 4 (GLUT4) によるグルコース取り込みは骨格筋および脂肪組織のグ ルコース利用の律速段階である5).ィンスリン抵抗性の 進行に伴い脂肪組織のGLUT4の発現は抑制されるせ,骨 格筋GLUT4には影響しない5) 6).すなわち，脂肪組織に おけるGLUT4発現抑制は肥満，糖尿病およびメタボリッ クシンドロームといったィンスリン抵抗性に起因する疾 病の代表的な症状である5).