内容の濃い鉢の本:盆栽名鉢シリーズ刊行への思い

摘要

今回は昨年来近代出版から出しているKBムックの（盆栽名鉢シリーズ）について、その刊行の狙いや周辺事情をお話しさせていただくことにします。 少々PRめくので面映ゆいところもありますが、私の考えを知っていただくことで読者が現在の盆栽界の状況を把握する一助になるとも思うからです。 ご存じの方もいらっしやるでしょうが、近代出版を始める以前、私は「京一」という名で盆栽業者をやっていました。 盆栽も扱わないわけではなかったものの、メインは鉢。 同業者から「鉢の京一」と呼ばれるほどに鉢を買いまくり、また売りました。当時は中国鉢全盛の頃、尚古堂や陳文郷がびっくりするような高値で尚古堂の紫泥小鉢が5万くらい、陳文郷だと20万はしましたね。 同じ頃に出始めた涌泉鉢の染付や赤絵がまだ相場というもののできる前で、何千円かで買えたことを思うと隔世の感があります。