タバココナジラミのバイオタイプBとQにおける 寄主範囲および発育特性の比較

摘要

タバココナジラミ[Bemisia tabaci (Gennadius) (Homoptera ： Aleyrodidae)〕は体長1mm足らずの虫で，幼虫、成虫ともに植物の師管液を吸汁し，甘露を排 泄する。卵は寄主植物の葉裏にサ—クル状に産卵される。 ふ化直後の1齢幼虫は歩行できるが，いったh定着する とその場で固着生活を送り，4齢（図-1)まで成長した 幼虫は羽化して成虫となる（図-2)。受精卵は雌に，未 受精卵は雄になる性決定様式をもつ。そもそもギリシャ においてタバコの害虫として初記載された（Gennadius, 1889)ために「タバココナジラミ」と呼ばれるが，タバ コ以外にも様々な植物を寄主として利用し，寄主植物は 600種以上に及ぶ（Ooveira et al.,2001)。また分布域も非常に広く，南極大陸を除くすべての大陸の熱帯，亜熱 帯あるいは温帯地域で存在が確認されている（Oliveira etal.,2001)。しかし，各地の個体群がすべて同じ性質 をもち合わせているわけではない。本種は「種複合 (species complex)]として扱われ，分類学上複雑な位 置にある。