ステイーブン,タンクスリ一博士 （2016 Japan Prize受賞者）との学術懇談会の概要 報告

摘要

「Japan Prize (日本国際賞）」は，我が国にもノーベル 賞に匹敵する賞をというコンセプトのもと，全世界の科 学技術者を対象に独創的で飛躍的な成果を挙げ，人類の 平和と繁栄に著しく貢献したと認められた人に与えられ る1985年に創設された賞です（http：〃www.japanprize.jp/ prize.html).授賞式には天皇皇后両陛下や三権の長を始 め，各界を代表する方々が出席されます.第32回となる 今年は，「物質,材料，生産」と「生物生産,生命環境」 の2分野が対象で，多くの候補者の中から厳正な審査を 経て，「物質,材料,生産」分野では，東京工業大学の細 野秀雄博士が，「生物生産,生命環境」分野では育種学者 であるコーネル大学名誉教授Steven Tanksley (スティー プン.タンクスリー）博士が本賞に輝きました.タンク スリー博士の受賞業績は「ゲノム解析手法の開発を通じ た近代作物育種への貢献」です.日本育種学会関係者で あれば分子染色体地図や量的形質遺伝子座（QTL),そし てDNAマーカー育種などは聞き慣れた単語であると思 います.博士はゲノム解析による作物の分子連鎖地図の 作成，果実の大きさなどのQTLを同定する革新的技術の 開発，そして新規な作物育種技術の開発への貢献など， 当該分野で枢要な業績を挙げられています.作物のゲノ ム情報の理解について理論的基盤を構築し，広く浸透さ せるとともに，世界各国における近代作物育種を通して 食料の安定生産に卓越した寄与をされたことが評価され ました.