諌早湾の生物---有明海特産種の宝庫(4): ズグロカモメとシギ、チトリ類

摘要

諌早湾および有明海、八代海の干潟は，渡り鳥、とくにシギ、チドリ類，カモメ類，カモ類，サギ類など，長距離の移動をする水鳥の重要な生息地になっている．これらの水鳥は，春と秋の渡りの時期あるいは越冬期に渡来し，干潟や浅い海を採食、休息の場として利用している．しかし，干潟は，干拓や埋め立てによりつぎつぎに失われてきた．環境庁の資料をもとに計算すると，全国の干潟面積は，82621 ha（1945年）から51443 ha（1992年）へと，47年間で約38％が失われている．同様に，有明海、八代海においては33512 haから24916 haへと約26％が失われている．1992年以降の消失を合わせれば，さらに大きな割合で失われたことになるだろう．とくに，国営干拓事業では日本最大規模の諌早湾干潟約2900 haが失われている．