豚のDNA型による親子判定を利用した 不良形質を高頻度で発生させる原因種 雄豚の特定

摘要

遺伝的不良形質の発症は本来必要な遺伝子 に変異が生じることに起因する。既知の遺伝的不良形質はDNA型を調べることによりDNAの 変異を明らかにすることができるため、種豚の DNA型の検査により回避することが可能である。ブタの遺伝的不良形質では、肉質に影響す るブタストレス症候群（PSS ： Porcine Stress Syndrome)力はく知られている。この遺伝的 不良形質はPSE肉（Pale Soft Exudative meat:淡い肉色、軟質、水っぽい肉）と呼ばれ る異常肉を発生させる要因の1つとして考えられ ており、リアノジン受容体1(RYR1)遺伝子の 変異により発症するu。これはRYR1遺伝子型 変異を持っていると、ストレス等により悪性高熱症 (MH ： Malignant Hyperthermia)を発征す ることに起因する。また、MHはヒトの筋ジストロ フィ一の原因遺伝子であるジストロフィン（DMD: Duchenne Mmuscular Dystrophy ノ ナ の変異によっても発症するため、ブタDMD遺伝 子型の変異によるPSSとして報告されている2)。しかし、多くの遺伝的不良形質は解明されて はおらず、早期胚死滅や流産が発生することに より産子数が減少する等、臨床症状として取り 上げられない例もある3)。