原発事故の畜産への影響と対策③:農林水産技術会議事務局による 畜産分野の放射能対応研究-農地の除染と畜産物への放射性物質移行低減のための技術開発-

摘要

平成23年3月11日午後2時46分に三陸沖で 発生したマダニチュード9.0の大地震により 生じた巨大津波は、東京電力福島第一原子力 発電所における原子炉冷却機能を消失させ た。この事故により、放射性物質が環境中に 放出され、福島県を中心に広範囲に農地が汚 染された。福島第一原発から放出された放射 性物質のうち、特に半減期が長い放射性セシ ゥム(セシウム134は約2年、セシウム137は 約30年)による農地等の汚染に対しては、今 後、長期間にわたる対策が必要と考えられる。 畜産においては、土壌から飼料作物、飼料か ら畜産物への放射性物質の移行抑制対策が重 要であるが、わが国における種々の条件下に おいては不明確なことが多い。そのため、農 地の除染技術、畜産物への放射性物質の移行 低減技術等の開発が急務となっている。