液状家畜排せつ物の処理を含めた環境対策における現状と課題 －家畜排せつ物の高度利用－

摘要

家畜排せつ物は、畜産業から得られる有用な資源として、農産物や飼料作物などの生産に「たい肥」という形で古くから利用されてきた。しかしながら、近年、畜産経営の大規模化の進展、農業従事者の高齢化および農作業に関する労力不足などから、家畜排せつ物の利用が困難な状況となってきた。そのため、野積み、素堀りといった不適切な家畜排せつ物の管理による地域の生活環軌こ関する問題も生じてきている。こうしたことを背景として、平成11年に「家畜排せっ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」（以下「家畜排せつ物法」という）が施行された。現在ではこの法律に基づき、畜産農家に対し、家畜排せつ物を適正に管理することが義務付けられ、さらに適正な管理のもと生産されたたい肥等の利用促進が図られている。