放牧を取り入れた肉用繁殖牛の飼養技術一草地の栄養価や繁殖管理などの留意点を踏まえて効率的な栄養管理を一

摘要

放牧は、飼料費の節減および飼料給与や、 ふh尿処理の労力削減を通した低コスト生産 に寄与するだけでなく、今注目されている家 畜福祉や差別化商品の実現に有効な手段の一 つである。ここでは、放牧飼養における栄養 管理の留意点などについて述べる。わが国の肉用繁殖牛は、その大部分が舎飼 いされている。放牧が活用されているのは、 公共牧場と遊休地の小規模な放牧が主な形態 であり、頭数は前者の方が多い。公共牧場では、主に乳用牛と肉用繁殖牛の 預託が行われているが、肉用繁殖牛は、本州 以南の比較的規模の小さな公共牧場で実施さ れている場合が多い。いくつかの農家の牛が 一緒に預託され、補助飼料の給餌や草地管理、 看視などが、管理人や会員の当番制で実施さ れている。ただ、一般に高齢の担当者が多くなり、これらの作業に支障を来している。音 響を利用した集畜や、家畜の位置情報、生体 情報収集の自動化などの研究がなされている が、後者では安価なシステムの実用化には 至っていない。