高強度ボルトの塑性域締付けにおける耐遅れ破壊特性評価(S034_1)

摘要

近年より一層の締結力向上を目的に、高強度ボルトの塑性域締付けのニーズが強くなってきている。締結力の向上は、ボルト寸法や本数の低減につながり、構造体の軽量化にとって大きな利点となる。一方、引張強さ1225MPa以上を有するボルトは大気中で遅れ破壊を起こす危険性が高いことで知られており、同じ水素侵入環境でも負荷応力が高い程、遅れ破壊を発生しやすくなる。また、遅れ破壊発生には、拡散性水素（鋼中を常温で拡散する水素）が寄与しているといわれており、拡散性水素に着目した研究が行われている。しかしながら、拡散性水素の侵入量が塑性ひずみの存在により増大することは多数報告されている1)が、ボルトを塑性域締付けした際の耐遅れ破壊特性については、あまり報告がない。そこで本稿では、ボルトを塑性域締付けした際の応力やひずみの状態、耐遅れ破壊特性評価法について検討したので報告する。