大腸癌におけるKRAS遺伝子変異の臨床的意義とその測定方法についての考察

摘要

上皮成長因子受容体(epidermal growtli fac-tor receptor: EGFR)は,チロシンキナーゼ型受容体であり,細胞膜を貫通して存在する分子量170kDaの糖タンパクである. EGFRの発現は上皮系,開業系,神経系起源の多様な細胞でみられる.細胞膜上にあるこの受容体にリガンドが結合すると,二量体を形成しEGFR受容体はリン酸化され活性化し,細胞を分化,増殖させる.正常組織においては細胞の分化発達,増殖,維持の調節に重要な役割を演じているが,癌細胞においてもEGFRは重要な役割をもち,自身の遺伝子増幅や遺伝子変異,構造変化をきたすことで発癌,および癌の増殖,浸潤,転移などに関与する.