ハイテン材の平滑·高精度切り口面を得る方法：高強度鋼板のせh断加工に関する研究 第1報

摘要

いわゆるハイテン材（高張力鋼板）の自動車部品製造過程において，せh断加工が行われることも多い．この場合，他の被加工材でもそうであるように，せh断加工した際に，一般的には平滑切り口面が望まれるケースが多い．しかしながら，ハイテン材のせh断加工には問題点も多い．例えばパンチの割れや欠け，ダイの早期摩耗などにより生産が安定しない等がまず挙げられる．またこれらに起因した形状精度不良や，バーリング加工などの後加工で発生する割れなども挙げられる．さらには，歯形部品のように加工面は，だれが少なく，直角度ができる限り良く（要はできる限り高形状精度となり），なおかつ切り口面のできる限りの部分を平滑面にしたいという要求も多い．そこで，ハイテン材のせh断加工に焦点を絞った研究も従来多くなされている．しかしながら，これらは機能部品製造をあまり意識していないためか，円形の穴抜きを対象にし（外形抜きは殆ど対象外であり），せh断加工速度の影響をみるという視点もない．