メカニカルアロイングした高炭素鋳鉄粉末の鋳鉄への圧縮接合－ガラス成形用鋳鉄金型の表面改質（第2報）

摘要

鋳鉄切削チップに3～10mass％の黒鉛粉を加えメカニカルアロイングして黒鉛が微細に分布する高炭素鋳鉄粉末を作製した．このMA合金粉末を普通鋳鉄(FC300)基板上に積層してホットプレスし，固化成形後焼結して鋳鉄との接合特性を検討した．その結果，1) 893Kで15MPaの成形圧力のホットプレスで固化成形し，1173Kで焼結すると，微細な黒鉛組織で緻密なMA合金層が形成する．2) MA合金層とFC300鋳鉄基板の界面では硬さ分布に傾斜する領域があり，両合金間で拡散接合していると推察できる．3) MA合金層は高炭素であるため，FC300鋳鉄基板より低硬さであるが，MA合金層の表面であれば，粗大な片状黒鉛組織のところの破壊起点を抑止し，抗折強度は向上する．4)固化成形·焼結して接合したMA合金層表面にショットピーニング処理すると，MA合金層の厚さは減少するが，硬さはFC300鋳鉄基板と同程度まで上昇し，接合界面で力学的接合していることから，その接合強度の向上が期待できる．