ナノサイズのしリこン球体チエーンの作製技術

摘要

ナノテクノロジーを推進するための1つのカギは、ナノメートルサイズでよく構造が制御された素材を大量に安価に製造する方法を確立することであろう。 物質によって種々の方法が考えられているが、従来の微細加工技術の延長線上に位置付けられる方法に加えて、ナノメートル領域において原子集団が自己形成的にナノ構造を構築する現象を利用する各種方法が多く試みられている。 後者の方法は、現状では試行錯誤の段階であり、自己形成のメカニズムも十分に解明されたとは言いがたい。 自己形成を利用する方法の多くは実際の素材製造という点では原始的な段階と思われる。 　 製造技術の観点に加えて、ナノ粒子の成長は基礎的な観点からも興味深い。 従来の比較的大きな結晶の成長は、マクロなパラメーター、例えば、温度、圧力によって記述することがある程度可能であった。 この方法論は、きわめて多数の原子が関与する現象についてのみ有効であるが、一方で、ナノ粒子の成長のような限られた数の原子のみが関与する現象では、個々の原子の自由度に対応する多くのパラメーターが現象の説明に求められることとなる。 逆説的ではあるが、これがナノメートル領域における結晶成長が基礎的な観点で興味深い理由である。また、ナノメートル領域では従来の理論的な枠組みでは予期できない現象が現れる可能性が高い。