ポリ塩化ビニル（PVC）の成形加工性（16）

摘要

前章で、硬質PVCのゲル化について述べた。PVCの使用は、硬質PVCに先立ち、軟質PVCから始まった。従ってその成形加工性（ゲル化）の研究も、硬質PVCに先立って行なわれた。軟質PVCは、ロール·カレンダーや押出成形によるフイルム·シートの用途が多い。軟質PVCのフイルム·シートの特徴は柔軟性とともに透明性にある。透明性を始めとするフイルム·シートの美観を損なうものに、異物の混入があり、これは通常フィッシュアイと呼ばれている。フィッシュアイの原因は、種々あるが、本質的なものでもっとも頻度の高いものとして、混練（ゲル化）不足が挙げられる。従って、軟質PVCの成形加工の研究には、ゲル化特性が大きな比重を占め、それを中心とした検討が行われてきた。本章では、軟質PVCのゲル化について述べる。