生分解性プラスチックを利用した残留汚染化学物質の吸着除去

摘要

我々の生活と密接な関わりがある工業製品、医農薬品、生活用品、食品添加物、建築建材などにはさまざまな化学物質が含まれており、産業排水、生活廃水、廃棄物、排ガスなどを通じて環境に排出され続けている。 また、これまで農薬使用に伴う残留化学物質やゴミ焼却に伴う副次生産物による環境汚染が起こってきた歴史的背景がある。 汚染化学物質の中には、残留性有様汚染物質（persistent organic pollutants、POPs）のように野生生物やヒトに対する毒性をもち、かつ環境中に長期間残存するものが知られている。 したがって、このような汚染化学物質の除去は、環境保全技術分野の重要課題の一つである。 水中の汚染化学物質を除去する技術としては、吸着を利用した物理化学的方法がよく用いられている。 これらの方法では、吸着担体として活性炭、合成高分子系の分離膜、樹脂系吸着剤が使用されているものが多い。 このような吸着剤の中には実用上優れたものが存在するが、対象となる汚染物質の種類による吸着の効果、目詰まり、使用済み後の二次処理·廃棄などの点で問題点や改善点も残されている。