ユーザーの立場に立った表面分析の新展開（番外Ⅶ）

摘要

磁界レンズと静電レンズを組み合わせた新たな電子光学系をもつ高分解能FE－SEM（Carl ZeissUltra55）の登場は、われわれのSEMに対するこれまでの概念ばかりでなく、電子顕微鏡およびナノ表面分析の分野も大きく変貌させようとしている。磁界レンズの収差を静電レンズで消し去ることで分解能が飛躍的に向上し、しかも固体の表面から放出される電子を入射ビームと同軸でエネルギーおよび角度別、すなわち"情報別"に取り分けることができるようになったためである。 加速電圧を1．0～1．5kVと低くし、最表面付近のみから放出される二次電子をin－lens SE検出器で検出すれば、表面の形状と電位を反映した像が得られる。 このとき同時に、エネルギーおよび角度選択性を有するin－column型の反射電子検出器（ESB検出器）によりhigh angle BSEのみを選択的に検出すれば、分解能が高く、コントラストの組成敏感性が非常にすぐれた組成像が得られる。