基礎化学品業界の需給環境変化と伊藤忠商事化学品部門の取り組み

摘要

北米のシエール革命による天然ガス価格の低下は，天然ガスからのエタンをクラッキング（分解）して基礎化学品や各種誘導品を展開する事業者の設備投資意欲を促し，エタンクラッカーおよび誘導品の新増設計画ラッシュが2012年頃から起こった。石油化学の上流分野で圧倒的なコスト競争力を持つ中東，シエール革命で復権した北米によって基礎化学品の世界の勢力図は大きく変化し，エチレン系誘導品を中心にアジア市場でも中東品や北米品のシェアが高まるとみられている。しかし，こうした潮流にも変化の兆しが出ている。