インドの経済·化学工業の現状と将来展望

摘要

中国が「竜」とすれば，インドはよく「象」に例えられる。 竜のような勢いは無いが，象はゆっくりと力強く着実に前進する。 インドという巨象は，英国支配と計画経済という長い眠りから目覚め，今その歩む速度を加速させながら世界へと大きく前進しつつある。 日本は，中国という距離的に近い巨大市場への進出をほぼ一段落させ，次なる巨大市場としてインドに注目している。化学産業では，西ベンガル州において三菱化学が高純度テレフタル酸製造事業をさらに拡大しているほか，自動車関連や天産品分野でも直接投資が増えている。 また医薬分野では，エーザイ，大塚化学などが現地進出しているほか，最近では第一三共がインド最大手製薬企業のランバキシーを買収するなどインドへの事業投資が活発化してきている。 とこではインドの経済の概況を俯瞰し，インド化学工業の現状と今後の展望につき述べていきたい。