新しい内科指導医に求められるもの

摘要

新しい内科専門医研修の充実と普及には，そ の指導を行う医師（以下「指導医」）がカギを 握っていることに異論の余地はないであろう.2014年7月に一般社団法人日本専門医機構が作 成した「専門医制度整備指針」において，「専門 研修指導医とは，当該領域における十分な診療 経験を有し，教育?指導能力を有する医師であ る」とされているが「詳細な要件については当 該領域にて定める」と記載されるにとどまって いる.そこで，日本内科学会では，新しい内 科専門医研修制度の構築に際し，主に臨床経験年数と役職に基づいた「役割」としての任命方 式から，指導者として求められる技能と経験を もとに設定した要件を満たす「資格」へと発展 させることとした.すなわち，臨床医に必要な 基本的姿勢と知識の普遍化およびレベルアツプ を達成した指導的立場として，その存在が明確 になるとともに，次世代の内科診療を担う医師 育成のためのキーパーソンとしての存在であ る.本稿では，このような新しい内科指導医に ついて，その医師像と期待される役割を中心に 概説する.