ACE阻害薬とβ遮断薬·アンジオテンシン受容体拮抗薬の併用

摘要

ARBはキマーゼなど由来のアンジオテンシンIIをも阻害し,AT2受容体を活性化する.一方,ACE阻害薬はブラジキニンの蓄積作用を介し,NOやプロスタグランジン系の産生を増加させる.ACE阻害薬とARBの併用療法はリモデリング抑制を介して心不全治療に有用と考えられる.CARMEN,CAPRICORNなどの結果から,ACE阻害薬とβ遮断薬の併用は生命予後を改善することが予測され,拡張型心筋症患者100例について検討した当科の成績でも,ACE阻害葵およびβ遮断薬治療は拡張型心筋症の生命予後を改善すると考えられた.Val-HeFT試験では,ACE阻害薬,β遮断薬,アンジオテンシン受容体拮抗葵(ARB)の3者併用では,プラセボ群が勝る傾向を示した.このことから3者併用には注意が喚起される.