急性期脳梗塞に対する血管内治療

摘要

内頸動脈や中大脳動脈などの近位主幹動脈閉塞による脳梗塞は転帰不良であり，rt-PA静注療法を行っても 再開通や後遺症の軽減が少ないことが知られている.このような脳梗塞の急性期において血管内治療による 再開通療法が試みられてきた.従来のマイクロカテーテルを用いた動脈内血栓溶解療法に加え，近年になつて ステントリ卜リーバ一などを用いた機械的血栓回収療法が行われるようになり，再開通率の向上と治療時間 の短縮がもたらされた.2015年に入り，5つのランダム化比較試験(RCT)が発表され，前方循環系の近位主 幹動脈閉塞による急性期脳梗塞例に対して，rt-PA静注療法を含む内科治療に加えて，血管内治療を施行する ことにより，内科治療単独の場合よりも後遺症を軽減させる有効性が証明された.これはまさに，急性期脳梗 塞に対する再灌流療法のパラダイムシフ卜であり，脳卒中救急医療体制の整備が急務となるであろう.