腹腔内実質臓器に対する腹腔鏡下手術-とくに腹腔鏡下肝切除術の現状と将来展望

摘要

手術侵襲の小さい腹腔鏡下手術は,その低侵襲性から種々のタ絹斗手術分野で標準治療としての地位を確立してきたが,腹部実質減器の手術に関してはいまだ一般化していない,著者らは, 1994年より腹腔鏡下肝切除術を30例施行しており,短期成績では術後在院日数の短縮が,長期予後では従来の開腹例と同等の予後が得られている.近年では,先行か切開, Pringle法の実施といった工夫により出血のリスクもさらに軽減し.とくに系統的肝外側区域切除は肝硬変合併肝癌に対する標準術式となった.しかし.実質臓器であるため止血の困難性という弱点をもちあわせており,症例選択ならびに手技の習熟が必要である.今後,腹腔鏡下手術が実質臓器に対する標準術式となるためには,手術の工夫や手術器具の改良など,さらなる努効が必要である.