H5N1インフルエンザワクチン H5N1ウィルスの特徴，ワクチン製造および今後の課題

摘要

1997年の香港に続き，2003-2004年に東南アジアで発生した高病原性鳥インフルエンザ（highly pathogenic avian influenza ： HPAI)を引き起こしたのはA/(H5N1)HPAIウィルスであった.現段階ではトリからヒ卜への感染は認められているが，このウィルスの特性からヒ卜からヒ卜への感染はほとhど認められていない.今後，発生する新型インフルエンザに備え，H5N1インフルエンザウイルスを用いてモックアップヮクチンの開発が行われた.日本においてはゥィルス粒子(全粒子）を不5舌化した不活化全粒子ヮクチンに免疫増強剤(アジュバン卜）として水酸化アルミニウムを加えたアジュバン卜添加不活化全粒子ワクチン(沈降インフルェンザワクチン(H5N1株)〕が製造販売承認を受けた.承認されたワクチンを用いて，プレパンデミックヮクチンとしての安全性と免疫原性を確認する臨床研究が行われた.また，クレ-ドの異なるH5N1ワクチン製造株を用いてワクチン原液の備蓄が行われている.このワクチンについては安全性および免疫原性のさらなる向上，供給能力の向上，迅速供給などの検討が求められている.