角膜移植法50年

摘要

今からちょうど50年前の1958年4月17日に公布，同年7月16日に施行された"角膜移植に関する法律"（現在は"臓器の移植に関する法律''に包括）は日本初の移植立法として意義深いが，この法律の成立直前に"盛岡事件"なるものが起きている．1957年11月3日付の日本経済新聞はこう報じた．「ざる三十一日盛岡市の石川政六さh（七六）から岩手医大眼科に『内妻が死hだから角膜を贈与したい』と連絡があり，同眼科今泉亀撤教授が早速死亡した小木田はるのさh（四二）の角膜を県立盲学校小学部六年菊地歌寿さh（一四）に移植，開眼手術に成功した．県警では小木田さhが精神病者であったこと，内縁の夫である石川さhが遺族となるかどうかに疑問があり，角膜移植法案が前国会から継続審査中で，立法化前であるところから，刑法の死体損壊の疑いがあるとして事情調査に乗出したもの．今泉教授の話＝角膜移植法案が国会を通過していないので刑法にふれることは知っていた.