上肢のしびれ

摘要

患者が訴える上肢の「しびれ」が感覚障害（感覚低下?鈍麻，無感覚，感覚過敏，自発的なしびれ） である場合，感覚障害の分布によって頭蓋内病変，脊椎?脊髄病変，神経根病変，末梢神経病変のい ずれであるかを推定する.実臨床で遭遇する頻度の高い疾患としては頸椎症，手根管症候群などの絞扼性神経障害が多いため， 日常生活動作，職業，趣味などをたずね，頸部?肘部?手関節への負担の程度も推定する.ただし，上肢，とくに第1?3指尖のしびれの場合は必す同側の口唇に同時にしびれが起こっていないか忘れ ずに確認し，脳卒中を見逃さない.口唇のしびれを伴う脳梗塞はMRIでなければ梗塞巢を同定できな いことが多く，上肢のみのしびれの脳梗塞は皮質病変であるため，主幹動脈病変や塞栓源心疾患をく まなく検索しなければならない.しびれの分布によってはX線写真，X線CT, MRI,電気生理検査， 髄液検査などを行う必要があり，すみやかに専門施設へ紹介する.