食道胃接合部癌に対するリンパ節郭清範囲

摘要

近年，食道胃接合部癌は先進国を中心に増加傾向を 示しているが，わが国も含めその術式ゃリンパ節郭清 範囲は施設，術者により一定しておらず，確立してい るとはいい難い.食道胃接合部は解剖学的に，縦隔内 と腹腔内へのリンパ流の分水嶺となっていることから， 食道胃接合部癌は広範囲にリンパ節転移をきたす可能 性があり，症例ごとの適切なリンパ節郭清範囲の設定 が必要となる.しかし，食道胃接合部癌の至適リンパ 節郭清範囲については大規模なランダム化比較試験は 行われておらず，一定の見解が得られていないのが現 状である. 縦隔リンパ節郭清操作については，通常の食道癌手 術に準じた経胸壁操作による縦隔リンパ節郭清，もし くは経食道裂孔的操作による下縦隔リンパ節郭清に分 けられる.