乳房外Paget病

摘要

原発性乳房外Paget病は，乳癌の亜型である乳房 Paget病に臨床像が類似しているとして名付けられた アポクリン腺由来あるいは表皮内のmultipotential germ cell由来の癌である.本邦では，発症年齢は平 均71.4歳，男女比はほぼ2 ：1で男性に多いとされて いる.人口10万人あたり0.5人未満と推計される稀 な腫瘍であるが，わが国における皮膚悪性腫塲として は基底細胞癌，有棘細胞癌，悪性黒色腫に次いで4番 目に多い.好発部位は外陰部，腋窩，肛門周囲とさ れているが，肛門周囲の原発性乳房外Paget病は 1893年にDarierとCouillandにより初めて報告され， その発生頻度は乳房外Paget病全体のうち5%以下で ある.また，原発性乳房外Paget病は乳癌，肺癌， 膀胱癌，前立腺癌，結腸癌などの他臓器の癌を高率に 合併することが知られている.