虫垂炎の開腹手術

摘要

術前検査から腹腔内の炎症の程度を把握し，適切な皮膚切開を選択する.虫垂炎に対する手術は，虫垂切除術から回盲部切除術まで多岐にわたる.腹腔鏡下虫垂切除術から開腹移行する際には，広い術野を確保できる皮膚切開を選択する.虫垂切除術は，外科医が最初に習得する手術手技の1つである.その歴史は1735年にAmyandがへル二 ァ内容として切除したのが最初の報告とされるそ の後，McBuraeyによって報告された虫垂切除術は， 100年以上経た現在でも標準術式として施行されてい る.腹腔鏡下虫垂切除術が広く行われる一方，虫垂炎に 対する開腹手術は減少傾向にある.ただし，呼吸機能 が悪く全身麻酔が不可能な症例や，手術機材の都合で 腹腔鏡下虫垂切除術が施行できない場合，あるいは腹 腔鏡下虫垂切除術から開腹手術へ移行する場合など， 今後も虫垂炎に対する開腹手術に精通しておくことが 外科医には求められる.本稿では虫垂炎に対する開腹手術について概説する.