絞蛎性イレウスにて発症した虫垂粘液嚢腫の1例

摘要

虫垂粘液嚢腫は虫垂切除例の0．2～0．3％に認められるが，絞扼性イレウスをきたした症例はきわめてまれである．今回筆者らは，虫垂粘液嚢腫が回腸に巻き付き絞楯性イレウスをきたした1例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する．2000年1月14日の午後から腹痛が出現し，軽快しないため夕方，当院救急外来を受診した．腹部単純Ⅹ線検査にてイレウスと診断し，入院となった．体温37．1°C，脈拍54/分，血圧124/70mmHg，身長148cm，体重48kg，腹部はやや膨隆し軟で，下腹部に圧痛を認めた．Blumberg徴候，筋性防御，腫瘤は認めなかった．