腎障害

摘要

がh薬物療法に伴う腎障害は，様々な原因によって発症し，幅広い症候を呈する.腎は多くの薬剤の排泄に関与し，腎機能は薬物動態に大きく影響するため，腎障害はがh薬物療法の実施に大 きな影響を及ほしうる.腎障害の予防や早期発見が最も重要であり，腎機能障害のある患者においては，投与量の調整（dose modification) が必要となる.プラチナ製剤のなかで多数の癌腫で用いられるシスブラチン（CDDP)は，腎障害の頻度が最も高い薬剤であり，用量依存性に腎毒性が増加する.CDDPは， 尿細管上皮細胞内に移行後蓄積し，主に近位尿細管終 末部を障害する代謝拮抗薬のメトトレキサ一ト（MTX)は，腎排 泄型の薬剤であり，投与量の90%以上は尿中へ排泄 され，大量投与時に尿細管障害による腎毒性が問題となる.