保存的治療を施行した腹腔内遊離ガスを伴う特発性小腸腸管嚢腫様気腫症の1例

摘要

腸管嚢腫様気腫症（pneumatosis cystoides intestinalis：以下，PCI）は，消化管壁内の含気性嚢胞を特徴とする比較的稀な疾患である．時に腹腔内遊離ガスを呈する場合があり，緊急手術の対象として臨床的に問題となる．今回，われわれは腹腔内遊離ガスを認めたが，保存的治療により軽快したPCI症例を経験したので，文献的考察を加えて報告する．症例：76歳，女性主訴：腹部膨満既往歴：75歳時に皮質下出血に対して関頭血腫除去術を受けた．現病歴：2006年5月より，脳出血後のリハビリテーション目的で近医に入院中に腹部膨満が出現した．腹部単純X線検査を施行したところ腹腔内遊離ガスを認め，消化管穿孔を疑われて当院へ救急搬送された．