胆道手術時の門脈損傷

摘要

胆道手術における門脈損傷は，肝門部剥離操作ゃ膵頭十二指腸切除術の際の門脈前面の剥離操作による各ァーケードの損傷によることが多い. 剝離操作が困難な場合は，細い枝を丁寧に処理しながら行うことが，不要な門脈損傷を回避するポイントである. 門脈系の出血は静脈性の出血であるため，慌てず軽い圧迫により出血をコントロールしながら結紮縫合などの止血処置を行う.外科手術においてストレスなく安全に操作を行うた めには，いかに出血をコントロールできるかが大きな ファクタ一となりうる.特に胆道手術は，その部位に よつて肝切除術から膵頭十二指腸切除術まで多彩な術 式が選択される.そのため，基本的な手術手技や幅広 い解剖知識が要求される.胆道手術の出血の際，止血 に難渋し，多量の出血の原因となりうるのは門脈系か らの出血である.本稿では，胆道手術の際の門脈損傷 に対する予防と対処について概説する.