癒着により非典型的な嵌入様式を示した大綱裂孔ヘルニアの1例

摘要

大網裂孔ヘルニアは内ヘルニアのなかでもまれな疾患で，一般に術前診断はむずかしいことが多く ，診断が遅れれば腸切除が必要となることもある。今回我々は，癒着により非典型的な嵌入様式を示した大網裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する。患者：59歳，女性。主訴：腹痛。既往歴：特記すべきことなし。現病歴：前日昼頃より心窩部から右下腹部にかけて痛みが出現し，増悪したため夕方当院を受診した。初診時現症：触診では臍周囲に圧痛あり，同部位に拡張腸管を触知した。