有機性廃棄物の堆肥化による野菜生産への利用〈1〉

摘要

環境保全型農業においては，有機物の活用方法が技術の中心となり，有機物の利活用と良質の有機物の確保に，大きな関心が持たれる．しかし，家畜糞が主体の有機物は，畜産の減少や，供給地と需要地の地域的な隔たりなどの問題で，都市近郊の農耕地では，充分な確保が難しい．今回はこの問題と，都市のゴミ問題の解決の一助となるであろう研究を紹介する．茨城農研の松本らは，農業集落排水処理施設産の汚泥（以下，集排汚泥）を再利用する試みを行った．集排汚泥は窒素，リン酸などの肥料成分に富み，現物施用により肥料代替性は認められるものの，施用土壌の亜鉛濃度を高めるため，長期にわたる施岡は難しいとの判断から，稲わらなどの堆肥素材に対する添加発酵源としての利用を検討した．