動脈硬化の治療：頸動脈

摘要

頸部頸動脈は動脈硬化（ァテローム血栓症）によりしばしば狭窄を呈する部位で，頸動脈狭窄症は脳梗塞の 原因のひとつとして重要であることが知られている.高血圧，糖尿，脂質異常，喫煙などの危険因子の管理に 加えて，中等度以上の狭窄に進展すれば抗血小板薬の投与をはじめる必要がある.そして高度狭窄に対しては外科手術(頸動脈内膜剝離術：CEA)の有用性が確立している.また，当初CEAが困難なものに限って行ってよいとされた血管内治療(頸動脈ステン卜留置術：CAS)は，経験の蓄積と機器および技術の進歩によりその成績が向上し，低侵襲である利点から急速に発展を遂げた.生活習慣の変化と高齢化によりわが国の頸動脈狭窄 症患者数は増加の一途をたどっており，それぞれに知見が積み重ねられ発展してきた3つの治療法の動向につねに関心を払わねばならない.