生活習慣病と睡眠時無呼吸症候群

摘要

生活習慣病は循環器疾患.糖尿病，癌など生活習慣により発症すると考えられる疾患すベての総称であり，その根本原因のひとつに肥満が存在する.中年以降に体重が増えるのは，食欲は変わらないのに，基礎代謝量の減少と，運動量の低下により.おもに内臓脂肪が増加するためと考えられる.この一連の体重増加によって中年以降では上気道も狭小化し.睡眠時無呼吸症候群(SAS)が悪化しやすい.咀嚼運動は覚醒を惹起または維持するため，SAS患者で眠気の強いヒ卜は頻繁な咀嚼運動，すなわち過食傾向を示し，肥満を助長する.SAS のニ大症状はいびきと眠気であるが，眠気の本体は無呼吸による睡眠の質の低下によるものである.さらに，睡眠不足や睡眠障害は高血圧ゃ耐糖能に悪影響を及ぼすため，生活習憎病が悪化するという悪循環が発生する. これらの悪循環を断ち切るためには食事や運動療法のみならず，睡眠を含めた生活習情の修正が必要である.