ユーザ体験のデザインプロセス－体験の何をデザインすべきか

摘要

ユーザ体験とは，ユーザがプロダクトとインタラクションをおこなった結果として，ユーザの頭の中に残る記憶である（図1）．しかしながら，ユーザ体験は，これまでのプロダクトを評価する指標，例えばユーザビリティと比較して概念が曖昧であり，とらえどころがない．そのため，ユーザ体験をデザインする，と言っても，実際には何をどのようにデザインすれば良いのかがわかりにくいという問題があった．本稿では，従来研究で述べられているユーザ体験について整理し，ユーザ体験をデザインするとは，結局，何をデザインすることであるかについて検討する．次に，ユーザ体験のデザインを，ユーザ体験の構成要素である，プロダクト，ユーザ，そして環境の3点から考察し，特に環境の視点からユーザ体験を検討することの重要性を，具体事例に基づき論じる．