始まりはジャンケンから

摘要

大学4年生になって最初にやらなければいけないこと，それは卒業研究を行うための研究室を選ぶことであった。 4月初旬，いつもの講義室の黒板に各研究室の名前が書きだされ, 各自が希望する研究室に自分の名前を書き込んでいった。 当時，自分が将来どんなことをやりたいのか明確に描くこともできていなかったが，漠然と「環境」というキーワードだけで2，3の研究室に絞り込んでいた。 その中で最終的に決めたのは，研究室の自由な雰囲気, そして3年次の退屈な学生実験の中で唯一面白かった過酸化水素分解触媒実験の印象からであった。 その研究室は触媒設計学講座といい, 名古屋大学工学部応用化学科，服部忠教授の研究室であった。服部研の定員は6人であったか希望者が9人いたため, ジャンケンという安易な方法で卒論生を決めることになった。 決め方は安易だが決められる方にとってはかなりの大事である。 それでもあっという間に6人が決まり，どうにかジャンケンを勝ち抜いた私も服部研の卒業研究生の1人となった。 この時から私と触媒との関わりガ始まった。